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2004年05月29日 14:45 : 愚直に描かれたヴァーチャルネットゲー空間(押井守「アヴァロン」)

 以前、「イノセンス」について「映像的には凄いけど、映画としては駄作」とケチョンケチョンに書きましたが。

 その流れで、「どういうもんかね?」と思いつつ「アヴァロン」をレンタしてまいりますた。
 Webぐるぐるした限りじゃ、この映画の評価は

 「イノセンス」>「アヴァロン」

 という感じで評価低いンですが。
 俺の評価的には

 「イノセンス」<「アヴァロン」

 で、こっちの方がなんぼか面白いですよ。

 何が面白いかって。

 登場人物が延々くだくだとわけのわかんねぇ薀蓄を垂れ流さないとこが良い

 いや、もう、かなりマジで。
 (「イノセンス」の「薀蓄垂れ流し攻撃」に本当に嫌気がさしてるんだな、俺w)

 あと「ネットゲーの世界」という、ネトゲーしたことない人にはイマイチわかんないあの世界を、随分とある意味で「愚直」なぐらいキチンと描いてるのが良いですな。
 柾 悟郎の「ヴィーナスシティ」とか、あの感じ(あっちは「ネットゲー」じゃなく「チャット」だけんども)
 
でもその「愚直すぎ」なとこが、裏返せば「ヒネりがない」ので。
 ネットコミュニティの独特の「空気感」がすでにお馴染みになってしまってる人には新鮮味もなにも無いし、そうじゃない人には逆にピンとこないし。


 それとアクション(ってもゲーム世界でのアクションなんだけど)も、実写でやってるせいか「動きにキレがなく、モタモタとした」感じ。
 「マトリックス」は「仮想世界の中だから、常軌を逸したアクションが可能」ってことで、斬新なアクションでウケたわけですが。
 「アヴァロン」のアクションは、かなり「タルい」アクション。

 「なんで、そんなモタモタ動いてて撃ち殺されないわけ?」

 と思いました、正直。
 アクション面でいえば、「アニメでしかできない動きを実写でやろうとした」というマトリックスに対して、「アニメ的描写で実写をやろうとして、実写の限界に縛られてしまった」という感じですかね。


 映像効果的には、グラフィックソフトの「レイヤー」って概念を、実写で見事に描いてるのが素敵。
 ちょっと感動しましたよ。

 「斬新な映像効果」というよりは「パソコンからくり」ってものがよくわかってる人ほど「なるほど、その概念をそう描くか!」ってところでニヤリとできる描画が多い。
 この手の映画って「ハナシや見た目のわかりやすさ」が「本来の技術的正確さ」より優先されがちで。
 パソコン詳しい人ほど「いや、そんなのありえねえ」って事が多いんですが。
 「アヴァロン」はその辺りの「匙加減」がかなり「おお、わかってらっしゃる」側に調整されておりますな。

 あと、よーするに「実写」を完全に「素材の1つ」として扱い、「アニメを作った」のがこの映画ではないかと。
 「アニメのような映画」ではなく「実写素材でつくったアニメ」みたいな?


 押井守ってば、以前に「監修」って立場で WOWWOW の「JムービーWARS」とかいう企画で 「宇宙貨物船レムナント6」ってのがありましたが。
 「アヴァロン」観てて、それを思い出しました。
 「レムナント6」を実際に観たことある人って、あんまりいないと思うんですが。これまた「低予算」「タルい展開」と、「実験作」という言葉でゴマかしがきく類の映画でして。
 「アヴァロン」もまさにそういう意味で「実験作」。
 ミニシアター系の映画っつーか。

 だもんで、「大作ロードショー」的なものを求めて観たら、間違いなく肩すかしくらいます。

 押井守って人は、そもそもどっちかってば「ミニシアター系の映画」辺りが丁度いい人だと思うんですよ。
 氏がカルト的な評価をかちえた「天使のたまご」だとか「赤い眼鏡」なんか、モロにそうだし。
 それが「機動警察パトレイバーMOVIE」「攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL」辺りから、宮崎某なんかと並ぶ「大作映画監督サマ」というイメージになってしまわれました(その頂点が「イノセンス」のあの過剰でインチキなプロモートだと思うんだけど)。

 でもって「ミニシアター系の映画」「ロードショー映画」じゃ、観る側も相応にスタンスを変えて観るのは当然のことです。
 小説読むときに「長編」と「短編」じゃ読み方が違うようなものです。
 短編小説読んで「これ、ボリュームが少ない、細部の緻密な描写が無い」とか抜かす人は(普通は)いないわけですが。
 でも困ったことに「映画」ってのは、小説的に言うとこの「長編」「短編」の種類の違いが、単純に「上映時間の長短」ってわけではないんですよ。

 「アヴァロンってダメぽ」って意見って、この辺りの「観る側のスタンスのズレ」が多分に影響してんじゃないかなぁ?


 あと、「攻殻機動隊」を映画館に何人かで観に行った時から感じているんだけど。
 押井守ファンって、なんかあの人に対して過剰な思い入れをし過ぎてるよね。
 「かなり面白い映画撮る人だけど、そこまでスゴくもない」って辺りの位置に置いて作品を観てるから、俺の評価って(コアなファンと)ズレてんだろうか?


 まぁ結論は。
 ミニシアターとか、TVでとか、レンタルビデオでとかで観るぐらいが丁度いい。
 劇場で普通に金払って観たら不満足。
 っていう位置。
 ビデオで観たので「結構面白かったよ」ってとこです。

 目新しさとか、意外性は皆無。
 むしろ「仮想ゲーム世界」を「愚直に」描いた点が好評価。

 そんな感じ。

 あと、俺って押井守って嫌いじゃないけど、そんなに好きでもないってことを再確認できた(笑)

投稿者 : のむけん | カテゴリ : 映画・ビデオ・TV | Updated at : 2008.3.26 14:32
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