"エロ"はハイビジョン配信普及の起爆剤となるか?
?オンデマンドTVが、HDアダルトVODを7月開始 http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/yajiuma/#20060605
・・・・ならないと思う。
「エロが新しいメディアを牽引する」というのは、非常に良く知られた原理だけども。
実際のところ、常にそれが機能するのだろうか?
そもそも「エロ産業」というものは大きく分けて3つある。
1つは、普段の彼氏/彼女とのセックスに彩りを添える産業。
まぁ、ようするに「セックスできるパートナー」が存在しなければ成り立たないのがコレ。
非モテ系男子/腐女子にとっては、ネタにこそなれ、実際のところ「そんなものあったって、セックスする相手がいないんじゃ!!」的な、「実用本位」な産業だ。
もう1つは「していただく」産業。
この巨大市場がいわゆる「風俗産業」。ヘルス、ソープ、デリヘル、etc・・・。
これは基本的に自分の他にもう1人以上いなければ成り立たない「セックス」というものを、金を払って埋め合わせしてもらうという産業で。人類最古の商売「娼婦」がその代表。
ここで重要なのは「自分以外の生身の他者」の介在なしには、このジャンルは成り立たないってこと。
そして最後が「ひとりでする」産業。
「妄想産業」というか、ようするに「オナニー産業」。
各種のオナニーグッズやら、エロ本、エロゲー、エロDVD、etc、etc・・・
ここでは「生身の他者」は直接的/実際的に必要ではない、というのが上記の「していただく」産業との最大の違いだ。
ここで重要なのは。
最初にのべた「エロがメディアを牽引する」と言った場合、そこでいう「エロ」とは、ほぼイコール、上記3つのうちの最後の2つ「していただく」産業と、「ひとりでする」産業のことであるのがご理解いただけるだろうか?
しかも、その2つのうち、ぶっちゃけ「ズリネタ」としての需要の方こそが最大の牽引力であるんだよね。
つまり「エロが牽引してきたメディア」=「ズリネタになるメディア」ということで。
言い方を変えると「オナニーがもっと素敵に/便利になるメディア」である必要があるわけ。
で。いわゆる「エロが牽引したメディア」の代表が「レンタルビデオ」と「インターネット」なわけですが。
「レンタルビデオ」というのは、それまで「ブルーフィルム」とか「にっかつロマンポルノ」が担ってきた「動画エロネタ」が、"気楽に自宅に居ながらにして好きな時に楽しめる"という意味で画期的だったわけ。
つまり、エロビデオは「上映時間に映画館に行く」「複数の人がいる場所で観る」というエロ映画に対して「場所」「時間」の自由をもたらし、「プライバシーの確保」という革命をもたらした。
それまで、「エロ本」という静止画の世界でしか実現できなかったものを、動画の世界で実現可能にした意味においてエロビデオは革命的だったのだ。
だって、平日の日中でほっとんど場内ガラガラ、しかも真っ暗だからって、さすがに映画館で自分のチンコしごくのはちょっと勇気がいるじゃない。
だからって、上映中にトイレに駆け込んでボックス席じゃあ臨場感が無いしさ。
それに真夜中にムラムラしても、映画館空いてないじゃん。
一方の「インターネット」というのは、初期の頃からほぼ最近まで、これは「エロ本」の置き換えとして機能してきた。
エロ本ってのは、実は非常に取扱が難しい。
家族がいる人であれば、家族に見つからないかとエロ本の隠し場所にはすごく気を使うし。
大量に持てば持つほど、おおっぴらに保管するわけにもいかんし。本ってとにかく場所とるし。
そんな「エロ静止画」が、ちょこちょこっと検索するだけで膨大に、HDDの中に保存できるこの利便性。
それがこそがオナニーにとって革命的な出来事だったんである。
さらに加えるなら「完璧に自宅にいながらにして」という点も重要だ。
エロビデオは、ズリネタに「時間」「場所」「プライバシー確保」という3つの革命をもたらしたが、そのうち「時間」「場所」は「完全に自由」ではなかった。
「レンタル屋へ借りに行く」「返却日に返却する」という制限が存在したのだ。
エロ本ですら「本屋に買いに行く」という制限が存在した。
しかしインターネットはそれを完全に自由にした。
ヌキたい時に、好きな場所で思う存分ヌける自由がそこにはある。
じゃあ他に「DVD」ってどうなのよ?
これはまず「エロビデオ」で問題になる以下2つを解決するという意味で、オナニーにとって非常に革新的だったのだ。
・CDサイズになることで保管場所が減る=隠しやすく、場所をとらない
・チャプターインデックスでエロいシーンだけを、すぐに楽しめる
メディアサイズの小型化による保管場所の問題と、エロだけを楽しみたい(それまで早送りで飛ばしてたAV女優の大根演技シーンをボタン一発ですっ飛ばせる!!)というこの2つの機能が、「オナニーにとって便利」なメディアとしてVHSテープを駆逐したのだ。
と、ここで振り返ると「オナニーにとって便利」というのは、どういうことかが見えてくる。
まとめてみると
・1人で誰にも見られず楽しめるプライベート性
・好きな時間に好きな場所で利用できる自由
・保管のしやすさ(隠しやすい/場所を取らない)
・検索性の良さ
この4つが、上記に挙げた「そのメディアをエロが牽引した理由」なのだ。
そして実は、各項ではあえて指摘しなかった、しかし上記3つ全てに完全に共通する特徴が2つ存在している。
そして、これこそが「エロが牽引力」になりえた最大理由だと俺は思う。
それは「非常に安価に(もしくは無料で)入手可能」「容易に複製可能」という点だ。
まずは「安価に入手可能」。
「エロビデオ」は、それまでエロ映画を観に行くよりも安価に、エロ動画を我々に提供した。
「インターネット」のエロ画像は、無料で山のように入手可能だ。
「DVD」においては、レンタルした場合の単価はVHSテープと大差ないが、問題なのはセル形式、つまり「買う」場合においてVHS時代と比較にならず安価に提供されるようになった。少なくとも「借りて見たらすんげぇ気にいったから、買っちゃおうかな」と思える程度には。
VHS時代のエロビは「買ってまで見たい」と思っても、容易に手が出せる金額ではなかったのだ。
次いで「容易に複製可能」。
「エロビデオ」は容易にダビング可能だし、ネットのエロ画像はクリック一発で無限にコピーが可能。
DVDは当初は「複製不可」だったが(今でも建前上はそうなってる、だからこそいまだにVHSより安くソフトが購入できる)、いまやPCがあればコピーガードなど無いも同然ということは、かなりの人が承知している。
前述の4つの「便利さ/革新性」に加え、この2つの特性をもった時にはじめて「エロ」は「メディアの牽引力」たりえるのである。
ところで、じゃあ「次世代ディスク(Blue-ray/HD-DVD)」やら「ハイビジョン(HD)ビデオ・オン・デマンド」ってのはどうなのよ?
と考えてみる。
まず「次世代ディスク」
これはDVDと比較すればよくわかるのだけど。
次世代ディスクの特徴は「画質が格段に向上」したことと、「強力な複製防止技術の実装」だ。
後者は「容易に複製可能」という、エロ牽引力を著しく損なうのは明白だ。
一方「高画質化」。
これが「オナニーにとって素敵/便利」か?
答えは「否」だ。
そりゃある程度のクオリティの方がいいに決まっているけれども。実際のところエロが「高画質」である必然性というのはあまり無い。
実際「エロ映画」→「エロビデオ」の時に、既にエロは「画質より、便利さ」を選択しているのだ。
そもそもHD画質というのは「大画面で観る」場合に有利なのであって。
PCモニターや、小型のTVで観る分には、DVD画質とさほど差がない。
よもや「居間の50型プラズマでHDエロ動画」なんて人がいるとは考えにくいし、いたとしても少数派だろう。
大多数の人は「プライベートな(=他の人に観られない)場所」で、こっそりとチンコ握って楽しむわけで。
さらに、HD動画というのは現時点では「非常に高価」だったりする。
動画配信サービスが色々はじまっていて、それらは「SD画質」のものが現状はほとんどなんだけれども。
これらの動画配信サービスが今1つパッとしないのは「金が高い」ってこと。
なにせ普通の映画をVOD(ビデオオンデマンド)で視聴しようと思った場合、下手するとレンタル屋で借りてくるより高い場合がある。
しかもVODの動画はダビングもできないときたもんだ。
SD動画でさえレンタルするより高い現状では、必然的にHD動画のVODはより高価になってしまう。
ならビデオ屋で借りてくりゃいいや、つかぶっちゃけWinnyで落とした動画でいいや、ってことになっちゃうんだよね。
たかがズリネタに、高い金なんかかけたくねぇしさw
そうなってくると「次世代ディスク」やら「HD動画配信」ってのは、実際のところ「エロを素敵/便利」にする類のものではないということがわかるはずだ。
したがって、次世代ディスクメディアや、HD動画配信において「エロは牽引力としては機能しない」という結論。
つか、高画質でマ○コの毛穴まで見えたって、萎えるって・・・w